2009/04/29

職場の危機管理

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職場においては、リストラのような積極的な人員整理の必要が生じることがあります。最近は ① M&Aに伴う組織変更に伴う人員カット、② 事業構造入れ替えに伴う異動や人員カット、③ 好況時における戦略的人員カット(追加コストに対する財政的耐久力があることを利用してV字回復以上のhigh flyerをめざす) などの新しい事態が発生しています。人員の調整は、ある意味で、職場の危機です。「人は変化それ自体に抵抗するのではない。人は何かを失うことに対して抵抗するのだ」

厭な役割でも成果は求められる

そのときこそ、実は、「役割」に対する深い理解が求められる場面なのです。人事部マネージャーとしての役割に、人員カットという目標が設定されたときを想定してみましょう。そのマネージャーにとっては、それが厭な仕事であっても、自分の仕事としてやらなくてはならず、その達成度合を成果として評価されるというわけです。

役割と自我の混乱

スタンフォード実験結果に見るように、役割が自我におよぼす影響は極めて大きいといえます。その前にも、実は、「ミルグラムの実験」があります。Milgram Experimentという、エール大学で行われた心理実験です。これは集団の意向に従う心理、集団心理、あるいは役割の自我に与える絶大な影響を明らかにした実験として有名です。

実際の実験結果は、被験者40人中25人が(統計上65%にあたる)、用意され
ていた最大ボルト数である450ボルトまでも(拒否の意を表しつつも)スイッ
チを入れた、というものでした。

では、リストラを成果として実行しなくてはならない人事部長はどうするのでしょうか。

組織の罠 

このように、組織という集団に属するとき、自分を組織のための道具(tool)とみなす心理が働きます。それを非個人化といいます。たとえ意思が強くても、またプレッシャーに強い性格でも、この心理が働くのです。それは意志の弱さではないのです。組織の中で期待される役割を演じなくてはならないからです。それは組織の罠とも言われます。


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