2009/04/29
役割と貢献度について
役割と貢献度について
役割とは、企業理念・使命・戦略実現へ関連づけられたそれら企業価値への貢献度合のことをいいます。そうはいっても、営業のように財務成績を示しやすい場合やバックオフィスでもビジネス・リエンジニアリングのようにプロセスの変革を目で見える形で変更でき効率アップを示せる場合は役割を記述したり設計したりすることは簡単なように見えます。しかし場合によって、人は成績をあげて良くやったねといわれない場面でも企業は評価しなくてはいけない場面もあります。たとえばそのような例として、コンプライアンスがあります。
コンプライアンス経営と役割・貢献度
コンプライアンス経営は、とくに金融業などの規制業種では仕事じたいの基盤にあるので、ゴーイングコンサーンとしてはもっとも重視しなくてはならないことです。もちろん「株主」という「顧客」に対しては、ゴーイングコンサーン(事業継続性)ではまったく不足であって、ただ継続することに価値はありません。儲けを出さなくてはならないのです。株主にとっては儲けは大きければ多いほどいいのであって、それ以外の価値はないといってもよいでしょう。しかし、規制業種の場合、契約の相手方や物の購入者の幸せも、また守らねばならぬ価値であって、金融業も飲食業も、同じです。賞味期限切れの商品を売ることで、それが問題視されて経営が傾くことは今まで数多く報道されています。コンプライアンス経営は、企業理念であり、使命であるなら、それは儲けは生まないでしょうが、重要な事業戦略の一部といえるのです。
コンプライアンスを役割に落とし込む
ところが、コンプライアンスでつまづいた会社の社長が、社員のコンプライアンス意識の不足を非難したり、成果主義の行き過ぎがコンプライアンス無視の風潮を生んだなどとすることがよくあります(最近の消費者金融会社の違法行為による業務停止命令に対するアイフル社長のコメント参照。)。
しかし、経営者としてやるべきことは、コンプライアンスを役割(貢献度)にビルトインしておくべきだったのです。それをしないでおいて、単に成果主義が行き過ぎていたとして成果主義自体を批判することはできないでしょう。コンプライアンスをまさに社長が期待する成果にすべきだったのですから。
要は、いかに貢献度合を役割定義にきちんと落とし込むか、その設計を十分に行っていないとコーポレートガバナンス(corporate governance)上の問題さえ生じるということです。
部下の育成を役割に落とし込む
また部下の育成という達成目標は直接営業目的には役立たなくても中長期的には上司の「役割」でしょう。こうした側面での貢献を役割の中にビルトインしてはじめてそれが評価の対象に含まれていくのです。