2009/10/13

対日直接投資の激減の理由(その1)

海外直接投資が激減している

海外から日本への直接投資が大きく減っています。財務省統計では、今年の1~7月が8789億円で、前年同期比で49%も下回りました。これは、2008年後半に本格化したリーマンショックの影響ともいえます。

この場合の直接投資とは、何かというと、海外企業による相手国の企業に対するM&A(合併や買収)あるいは現地法人の設立なのです。ですから、たとえ海外から株式を買っても相手企業の経営に影響を与えない少量比率だったり、短期間の売買(転売)目的であれば、直接投資とはみなされません。

海外からの対日直接投資減は、日本市場の魅力減だから?

これは世界同時不況から脱却しようという日本経済にとって打撃となるといえるでしょう。今後の動きについてかなり悲観的見方が広がっています。それは「人口減などで日本市場の魅力が新興国や資源国に比べて乏しくなっているから」です。(日本総合研究所牧田健主任研究員)しかし、「なお人口減であっても環境や介護関連が成長分野として海外企業の日本企業へのM&Aは増えていく」という見方もあります。(国際貿易投資研究所増田研究主幹)

しかし、本当にこの分野で成長は見込めるのでしょうか?

今年6月17日、ロシアのエカテリンブルグで、BRICs首脳による初の公式会
  議が開催されました。主要国首脳会議(サミット)や先進7ヶ国財務相・中
  央銀行総裁会議(G7)など先進国を中心とする国際会議の影響力低下が近
  年指摘される中、時代の変化を象徴するような出来事でしたね。

  実際、BRICsの存在感は世界の中で上昇してきています。まず経済成長率を
  G7と比較してみましょう。

  BRICsとG7:経済成長率と経済規模の推移
  
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  伸び盛りのBRICsの経済成長率は、もともと成熟経済であるG7よりも高い傾向にありますが、今世紀に入ってから、その成長率格差は大幅に拡大してきました。2%前後のG7に比べ、2007年までの5年間10%以上の成長を続けた中国を筆頭に、最も緩やかなブラジルでも5%前後の成長率を達成してきました。

  2008年の不況は世界的なスケールに広がりましたが、過去にこのような世界不況や金融ショックが起こると、経済基盤の脆弱だった途上国がより深刻な影響を被ることが多かったのに対し、今回は欧米先進国がとりわけ深刻な危機に見舞われて対応に追われました。こんなところにも「形勢逆転」の兆しが垣間見えます。

投資先という見方からは、G7特に日本は投資対象としての魅力に乏しいのはハッキリしてきたともいえます。しかし、、日本に腰を落ち着けて日本で事業を開始したいあるいは日本企業に長期投資して経営をしてみたい、と外国企業に思わせるためには、こうした経済的指標や県境・介護などと言ってみるだけでは、不十分ではないでしょうか?それは単なる「期待」にすぎません。

対日直接投資減少の真の原因はどこにあるのでしょうか?

次回は、「その本当の原因は日本企業の組織と人の考え方にあるのでは?」に迫ります。


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