2009/04/29
人材計画と財務計画
人材計画と財務計画
人数も人材計画の重要な要素です。 すなわち、人材要件をふまえて、人数を確定する作業をして初めて「人材計画」ができあがるのです。それには財務的な裏づけ(適正な予算措置とそれを組み込んだ経費予算計画)が事業計画に必須となります。人材要件と人数が組織体系に加わると、その組織によって生み出される(はずの)アウトプット、すなわち財務業績が「予定」されることとなり、それを生み出す人件費総額も目的合理的なものとなり、全体として事業計画として論理性と納得性が生まれてきます。
人材計画を財務予算に反映させるにはどうすればよいですか
決めた事業目的をここ数年で達成するには一体どういう組織を必要とするか、それは、人材要件と人数の関数で示されるから、理想の組織の形式要件が示されることとなります。
この人材計画の策定にはいくつかの重要な意味があるのです。
① まず、人材要件と人数(人的経営資源)から、どのようなアウトプットが可能か、最小の人的経営資源から最大の効果を得るにはどうするべきかという視角が求められてきます。ここで、組織と個性の相関関係が強く意識されねばなりません。人材要件と人数のセットだけで本来予定している効果も出ないこともあれば、予定している以上の効果を生み出すこともあります。その組織と個性の相関関係を分析し個性を最大限に生かせるようにすることも人事部や経営の役割でしょう。
② 人材要件と人数と明らかにする過程で、本来予定している事業計画に余剰であることが判明することがあります。特に、事業形態ないし主たる事業のドメインを変更するとき、不況により事業環境が極端に悪化したとき、合併・吸収という組織変更があったときに現出する事態です。
この場合の人材計画は、事業計画の一部として余剰人員について具体的に明らかにする必要が生じてきます。どの部署でどの人材要件の者が何人余剰かがマトリクスのゴールとして表現され、その結果、いつまでにどの部署で特定の何人を組織外に放出するかの計画が立てられることになります。その結果、アウトプレースの政策が労務上もコンプライアンス上も問題をおこすことのないようにして所定のゴールを達成すること、それ自体が事業目的の一部となってきます。
従来は、業績が悪いとすぐ固定費削減のためにヒトの削減に動く企業もあったようですが、それだと、必要な人材を逃がし、逆に、組織の人材要件を満たさない人員を残存させる結果となりかねません。事業計画策定時には必ずなすべき作業ですが、実際は、人材要件も人数も予定を満たさないことが多いため、それを見越して計画をたてることがあります。