2009/04/29
組織と構成員との間の心理的契約 (その1)
組織と構成員との間の心理的契約 (その1)
まず、雇用契約ありき。
では、組織体系の特徴の5 組織とその構成員との間の「契約」の問題に戻りましょう。
企業全体を組織としてみたときに、個人が、社外から会社・組織に所属(加入)する契約が、入社契約です。それには法律上、雇用契約ないし労働契約が必ずなされます。そして雇用契約の内容を明示した雇用契約書が作成されます。
雇用契約書では、労働条件とともに所属する組織(部署)名や職能、個人にとっての経済的な効果としての給与その他のインセンティブが記されます。そこで初めて、会社と個人との契約関係が成立するわけです。
心理的契約とは何でしょうか。
しかし、実際は、こうした法律上の雇用契約とは別に、「心理的契約」 が交わされているといわれます。これはどういうことかといいますと、同じ職種で同じ給与でありその他の条件も同じであるのに、何故この会社と契約したかという入社動機のことです。
たとえば、なんか楽しそうだから、とか、実績があるから、とか、社会的に有名企業だから、とか、新入社員にとっての当該会社が「選ばれる理由」がこれに該当します。もちろん、途中入社であっても同じですね。
実は、同じ会社内であっても異動つまりコンバートされたり、新プロジェクトに参加したりする場合にも、同じように所属組織との心理的契約が存在しているのです。
途中入社の人材も同様で、自分のスキルや経験がこの会社でどう生かせそうかという期待が入社契約の背後に「心理的契約」として存在しているといえます。
承認と意欲
結局、働くことの経済的反映としての金銭的インセンティブや非金銭的インセンティブがあることが「働くことの意味」として最も重要だとしても、他方、従業員にとって当社で働いてよかった、これからも働きたいという「承認と意欲」があることが、働く意欲を引き出すことになるのです。
たとえ部署が同じでいままでどおりそのまま継続して同じ職場で働く人にとっても、これから入社しようとする人や外部の個人に対して、自分からこの会社ではたらくことの「承認と意欲」を積極的に表現することができるかどうか、それが「心理的契約」があるかないかの差と言っても良いでしょう。
会社との相互信頼関係
他方、会社にとっても好ましい人材と思う場合は、心理的契約は強化され、「相互信頼」が増すことになります。