2010/01/20
リーダーシップの矛盾
リーダーシップの矛盾
日本ではリーダーシップ研修というのはあまり盛んではありませんが、海の向こうでは組織の大小を問わず研修にとりいれられていることが多いのです。そこではリーダーシップのマクロ問題といわれているもので、組織の戦略全体とかアプローチ、組織文化などの側面で、もうひとつはミクロ問題つまりどのようにチームをまとめあげるかというようなスキル面での訓練が多いようです。外国では、今どのようなことが話題にあがっているのでしょうか?
リーダーシップ訓練
そもそも、こうした訓練を外部に委託することの意味はどこにあるのでしょうか?
「確かにリーダーがいれば、10人の兵士でも、リーダーなき100人の敵兵に勝つことができる」でしょう。組織の問題点をいち早く把握して素早くリーダーを養成できればそれに越したことはありません。しかし、自分が何もしなければ、つまりリーダーがいなければ、次に自然にリーダーがうまれてくるのも事実です。外部の人間はつまり内部の人間に最も影響力ある人だとはいえないのです。リーダーは、チームや組織の中でいつも自然に生まれてくるものです。社内組織である人事部がリーダーシップ訓練を行おうとしてもかなり無理があります。それでリーダーシップスペシャリストなる一群の人々がいて、リーダー養成に力を貸している、というわけです。
銀行強盗とリーダーシップスペシャリスト
とはいえ、リーダーシップ養成訓練のためには、どうしてもその組織固有の事情や知識経験も必要でしょう。銀行強盗には内部者の手引きが必要で、それがあると成功確率が高まる(?)そうですが、まさに正しい方向性を与えるためには内部者の協力が必要です。しかも社長などCEOトップマネジメントの協力は必要不可欠で、リーダーシップ訓練が正しく機能しているのだということをいつもアピールしておく必要があります。そのためには、リーダーシップ訓練をしたおかげで具体的にどこがどのように改善されたのか、それをいつも訓練成果として追求していくことが重要です。そのおかげで組織を変革したのなら、それがどのように変革されてきたのかを自覚することが大切です。
そこの一番肝要な部分は、リーダーシップを教え込むのではなく、人々がリーダーシップの理論や場面と理解して自分自身でその役割のレパートリーに組み込めるようにすることだといわれています。そして何よりリーダーシップをとることに恋をするぐらいに魅せられるように誘導する、ということです。このあたり、日本でも導入する意味はあるのではないでしょうか。
リーダーシップの矛盾
組織変革があればそこに自然にリーダーシップが生まれ、リーダーが生まれれば組織変革が実現できます。テーマは組織変革です。実用的で役に立つリーダーシッププログラムを導入しても果たして本当に役にたつのかどうか、だれにもわかりません。何もしなければ、そう本当に何も手を打たなければ結果として自然に良きリーダーが姿を現してくるのも事実です。それがリーダーシップの矛盾といわれている現象です。
何も変革が必要ない牢獄の中にいるのなら、リーダーシップは不要で何もせずにそのままに、あるがままに生きていけばいいのでしょう。でも変革をめざすのならリーダーシップは必要なのです。問題は、何がリーダーシップなのかということにあるのかもしれません。