2009/12/27
組織の変革とチームビルディング
今年最後のコラムとなりました。みなさんの2009年はいかがだったでしょうか?2010年も良い年でありますように。心より祈念いたします。それでは、よろしくお願いします。
組織の変革とチームビルディング
組織の変革は、一人のトップ、リーダーによって成されるものではありません。また、チームワークの重要性は皆、頭では理解しているものの、それは決して何もしないで自然に醸成されるものでもありません。したがって、前回述べたようなチームビルディング野外演習も含めて、チームビルディングを目的とした具体的な試みに意識して取り組むことが重要になってくるのです。実は、チームメンバー個々の性格についての認識をしておくこともチームプレーをするときには非常に重要な要素です。こうした個性分析手法は単に興味本位に取り上げられることが多いし、日本では他人に自分を知られることを忌避するという強い性向があるので、嫌がられることが多いのが現実です。
多国籍チーム・ビルディング
しかし、考えてみてください。グローバル化のさなかで外国人と伍して結果を出していくには、こうした多国籍チームでのチームプレーが不可欠です。そしてたとえばマイヤーズ・ブリッグス分析などのようにMBAクラスでも普通に分析されているチームメンバーの個性理解をしないでおいて、徒手空拳で戦うことは戦略的とは到底いえない、と思います。また、各人の個人史、たとえば生い立ち、経歴、背景を知り合うことも1つでしょう。これらはチームメンバーの個人個人をよく知ることを目的としており、それがチームビルディングの前提となるわけです。これがどうも日本人には苦手なんですね。お互いに「深く」知り合うことに対して日本人は及び腰です。
オフサイト・ミーティング
また、典型的な手法としてしばしば行われるのが、10~15人の幹部がオフサイト(社外)で数日に渡り合宿ミーティングをすることがあります。ミーティングでは組織の抱える問題や今後の戦略などについて率直に意見を述べ合うのです。夕食の際には個人的な事柄について話し合って相互理解を深めることもプラスですね。その際、先に紹介した野外演習を併せて行うことも効果的だというわけです。メンバーの異動によってメンバー構成が変わった場合は、その都度このような機会をもつアクションを取り続けることが重要となる。問題は幹部が多忙で、スケジュール調整が極めて困難であることでしょう。しかしながら、それは根本的には、関係者が組織の変革が真に重要であると考えているか、そしてそのためにチームワークが必要と考えているか次第なのです。
日本企業はチームプレーが本当に得手か?
従来、個人中心の欧米企業と比べて、日本企業ではチームプレーが重視されてきたといわれます。確かにこれまでの成長過程において、製造プロセスをはじめ、日本企業のチームワークが成果を挙げたのも事実かもしれません。しかしながら、ある種同質社会の甘えからか、徐々にチームワークのための「手法」あるいは「技術」を意識しなくなってきてはいないでしょうか。
最近、日本企業は金融をはじめとして、生き残りをかけた産業再編の結果、合併が相次いでいます。また雇用の流動化に伴って、今後外部からの人材の登用も徐々に増える兆しを見せています。このような中で、特にM&Aの世界では、異なるカルチャーを有する幹部間のチームビルディングが極めて重要になってきています。そういう問題意識の下、今一度チームビルディングのための具体的取り組み、手法を考えてみる必要があるのではないでしょうか。
リーダーシップ論で世界的に著名なジョン・コッター教授はさまざまな企業例をもとに次のように指摘しています。「変革を推進する幹部による強力な連帯チームの形成なくしては、企業を変革する試みは挫折する」。
2010年はチームビルディングとリーダーシップの問題が大きくクローズアップされるのではないか、と思います。