2009/04/24
人事制度の設計と役割定義との関係
人事制度の設計と役割定義との関係
人事制度上、社長の役割は、会社目標つまりVMS(会社理念、会社使命、事業戦略の一貫性)の角度からどのように定義されるのでしょうか?
それをKaplan・Nortonのいうバランスト・スコアカード(Balanced Score Card)の4つの価値側面からわけて意義付けることができます。その中の一部に株主や顧客などステークホルダーからの期待というものがあります。
さらに事業部長や経理部長は、この社長の役割を実現するためにどのような自己の役割を(社長から)期待されているのか、さらにその部下はどんな役割を期待されているのかをまずきちんと記述することが大切なのです。
役割は、属人的にとらえない
誤解してはならないこととして、この役割は、会社目標つまりVMSの角度から定義されるのですから、その当該具体的なヒト(佐野さんとか山本さんとか名前で呼べる実在人)に与えられる役割とは違います。極端な場合、役割として定義される職務があるのだけれど、具体的にその役割を期待されているヒトがまだ会社に存在していないということもあります。逆に、ヒトがいて仕事をしているようにみえるけれど、役割として定義される機能を果たしていないということもあります。
つまり、役割は、そのヒトについてまわるものではなく、客観的にその会社目標達成に必要な機能のことをいいます。例えて云えば、劇場の椅子のようなものです。つまり役割とは、顔の見えるヒト個人ではなく、誰が座るかまでは決まっていない椅子であって、その(会社という)劇場のために用意され設計された椅子のようなものです。
役割から人事制度を設計する
劇場の椅子(役割)を設計しうまく配置し最上の舞台効果(付加価値)を出すことが劇場設計(人事制度の設計)のポイントです。
まず、会社目標を明らかにし、そのために、なにを重視し何をするべきか(事業戦略のシナリオ)を書き込みます。このような客観的な視角で、その戦略シナリオに従い、結果を生み出すプロセスロジックを明確に定義し、それをになう機能としての役割をまず定義します。
そして、次にその役割の重さを測定します。その役割の重さは、会社目標達成への関与度つまり付加価値の大きさ(または小ささ)です。この意味で、経理部の役割の重さと営業部の役割の重さは異なるでしょう。そして、役割の重さの違いに比例して、給与水準を連動させることが、人事制度を設計するということの具体的意味となります。