2009/04/24

経済人モデル

947-1237669462c11l「経済人モデル」とは何か。

今まで、歴史的見ると、組織と人との関係はいくつかのモデルで説明されてきました。たとえば、最もわかりやすくまた原初的な考え方として、人は給与のために働くのだ、期待水準以上働けばより多くの給与がもらえることこそがその組織に関わる理由だと考える「経済人モデル」があります。そこには、外からの給与ないし報酬という刺激に対応する人間像が想定されているのです。

企業側による標準(期待水準と言い換えることができます)の設定のしかた次第で常に右肩上がりの業績を企業は期待できるし、その分け前である給与を従業員も右肩上がりで期待できる、というように予定調和しているのでお互いに論理的には不公平はありません。その結果得られた成果(価値アップ分)を測定しそれに応じた給与を計算することも論理的に説明可能だといえます。

成果主義

以上に述べた「経済人モデル」は、近年の成果主義の考え方の背景にある考え方です。そして企業の中堅層ないし若手管理者(部長課長)にはなじみ易くまた経営側にとっても計算しやすい考え方でもあるといえます。

しかし、すぐには(当期内に)成果が見えない部門だとか入社したての人ですぐに目に見える成果を測定しにくいという場合だとかには違和感がある考え方でもあります。また、きまりきった仕事をこなせばいいだけのルーティンワークに携わる人も同様に、違和感があることでしょう。

ハイ・パフォーマーのモラールダウン

成果に応じた金銭的報酬は、成果(業績)主義の形で日本でもすでに根を下ろしているといえます。全くの年功給与制度(在籍年数が増えるに従い給与も増加する仕組み)をとっている企業は稀になりつつあるといえます。

これは、ハイ・パフォーマー(高業績者)の目からすると、いくらがんばっても自分より劣ると思われるロウ・パフォーマー(低業績者)と、そうたいして金銭的報酬額が変わらないなら、ガンバルだけ損だという発想が生まれるから、ハイ・パフォーマーのモラールダウンつまりヤル気がそがれる結果を招くことになるからです。

ロウ・パフォーマーの甘え

また、ロウ・パフォーマー(低業績者)だからといって、とくに生活給の要素の部分では、報酬を低く抑えられるわけもなく、多少は毎年昇給ないしベースアップもあるので、とかく会社は業績にうるさくいうが、とりたてて現状に不満はなく、まあ働きに見合った報酬だから、いまさら必死にならなくてもあと数年で退職金もらえる・・・うまくいけば早期退職制度で割り増しも・・・・というマインドになりやすい傾向もあります。これでは、目標達成に対しては甘えの態度となってしまうといえます。

この意味で、経済人モデルだけで、全てを説明したり給与の本質を説明し尽くすことはできないことになるでしょう。


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