2009/04/24
社会人モデル
「社会人モデル」
ABC分析の価値
財務的な成果をさておき、職場の現実ないしデイリーの仕事のうごきを眺めてみれば、「経済人モデル」では説明がつかない意識が実際の職場には存在します。たとえば、いかにABC(Activity based costing analysis)を行っても、その個別の仕事の成果がいちいち給与価値に変換されるわけではありません。人はなにか組織に所属したいと思っているのです、そこで出世して組織の中でハバをきかせたいし、会社や顧客から褒められたいというRewardを目当てに人は働くのだという、いわゆる「社会人モデル」もあるのです。
社会人モデルとは何か。
こういう側面もたしかにあるのであって、人によっては職場の人間関係がもっとも大事で人間関係がうまくいってさえいれば快適で「気分よく効率よく」働けるんですという人もいます。これは職場の一部のOL層に多いかもしれませんね。職場のみなさんから慕われる存在であればいいというような、たとえばいわゆる職場のアウトサイダー的な釣りバカ日誌的な人や職場の潤滑油といわれる人たちもこれにあたるといえます。逆に、バリバリ働き、人と違う成果を見せ付けてそれを評価してほしいという人は「社会人モデル」では反対に評価はされないことになる。
社会人モデルにおける成功とは。
そして、この「社会人モデル」では経済人モデルの対極にあることから、経済的成果と反応させることが困難なのでその満足度を給与に反映させることはまず難しいということになります。いかに本人が周囲に好まれても、全く営業成果の出ない営業マンに、成果のある営業マンより多くの給与を払うことはできないでしょう。つまり社会人モデルではいくらの給与を支払ったらいいのかという問いに答えることができないのです。企業組織が利益追求団体であり互助・同好会ではないから当然のことです。しかし、集団にうまく属したい、顧客や会社に褒められたいという人間のDNAを無視すれば職場は嫌われうまく機能しないことも事実でしょう。
不機嫌な職場
効率化やグローバル化、IT化によって職場環境は一変しています。Eメールでやりとりすれば、世界のどの支店とも取引先ともコンタクトはいつでもできるし、エクセルですぐデータ分析もできるようになりました。10年前とは比べ物にならないくらい能率はアップしたといえます。しかし、他方、職場の同僚が面と向かって会話をせず、電子メールでやりとりする現象などによってギスギスした職場が増えています。職場の人間関係が希薄化により職場での協力関係が破壊され社員のモチベーションや品質低下に影響しているという現実分析がされています。(高橋克徳ほか著「不機嫌な職場」講談社現代新書2008年)
「人はなぜ働くか」は、もはや経済人モデルだけでは説明ができないことは明らかです。そんな「不機嫌な職場」が、どのようにしたら、生き生きとした職場に再生できるでしょうか。そのためにはさらに別のモデルからヒントを得ることができるでしょう。それが自己実現モデルです。