2009/04/29
人事評価ベクトル不一致の場合の対応
人事評価ベクトル不一致の場合の対応
個人と全社戦略ベクトルの方向軸が違っている場合の扱いは、どうすればいいのでしょうか。それぞれの場合(4つの象限に分ける)について検討してみましょう。
(A)は問題ありません。
(B)(B)はトレーニングや研修の問題でしょう。
(C)(C)は問題外であり、適材適所といえません。(C)の場合、会社の方針や全社戦略を否定ししかも実績がないという場合であるから会社側は戦力とはみなせないのです。適切なトレーニングや教育によりベクトルを共有できればよいですがそうでない場合はEXITプランを用意する必要のあるパターンです。この問題は人事を経営目的達成の一手段と位置づける戦略人事上避けて通れない経営課題であり、従来型の労務人事型の思考では解決不可能です。これらの諸問題は、採用政策や法律問題に関わる、すぐれて現代的課題だといえます。そして、これは現代のグローバル企業では、日本人以外の外国人社員との融合と統合をはかり、使命と事業戦略達成のために必要な実戦思考だといえます。それなら日本人社員だけが一枚岩ということは幻想でしょう。また、M&Aの人事統合でも、戦略とのバイアスの問題は、避けて通れないテーマでもあるのです。
(D) しかし、(D)の層は、実は扱いが厄介であるといえます。ベクトルが一致しないのに短期の財務目標値は大きくクリアしているから目的達成度だけでみれば問題ないものの、方法論やマーケティングなど会社の方針に全く逆行しているのだから「評価」してしまったら全社ベクトルの否定になってしまうという自己矛盾があるからです。そもそもバランスト・スコアカードは、「原因なくして結果なし」、のロジックを基底においています。戦略的に想定した原因とは無関係に結果を出しても、全社的価値増大には貢献していないのです。
これらの問題は、人事部長が評価の問題で、つねに悩む課題のひとつでしょう。日本社会では、こうしたロジカルな考え方は表立って議論しにくい課題ではあります。しかし、これからの日本の会社、グローバル化した会社では、感情に流されずに議論し、コミュニケーションすべき課題のひとつといえます。