2009/07/06
戦略人事を職場に落とし込む
戦略人事を職場に落とし込む
人事部は「現場」に関与するのでしょうか
「人事は戦略実現のためにある」のだから,『人事部』に期待される役割も「戦略実現」になります。例えば全社戦略としてある成長ロジックを立てたのに,つまり戦略は正しいのに,営業部のマーケティング機能が十分でないために業績が伸びないというなら,人的側面からその強化策を立案・実行することが人事部の役割責任となるはずでしょう。
しかし、そうはいっても、さて,これは今までの人事部の常識に合っているでしょうか?
「業績不達」は、人事部の責任?
もちろん営業業績責任は営業部長にあるのであって,人事部長が営業責任を負うわけではありません。もちろん、マーケティング機能強化やその方法論については,現場の営業部長の策定・実行責任といっていいのです。それが、そのプロフェッショナルたる所以だからです。
しかし営業部長だけで対策を決めることだといえば、そうともいえません。それに人事部長も相談に乗り目標を共有して関与するべきだといえます。
なぜなら,「原因なくして数字なし。」――まず事実を直視すること,そして,このままではいけない,何かを変えなくてはと強く思うことから解決策が始まるからです。人事部からの提案で営業現場の人に期待される行動様式を身に付けてもらえるように,たとえば、「顧客満足度向上研修」をするなり成績評価制度を抜本変革するなり,さまざまに創意工夫して営業現場をサポートしなければならないのです。それが人事部の役割だといえます。
星野リゾートの例
この例として, 星野リゾートの「従業員全員サービスチーム化」の取り組み(2008.4.21社長インタビュー:日経オンライン)が挙げられるでしょう。同社では,「単能工から多能工へ――」つまり,自動車産業はじめ製造業界では生産性向上のために,当たり前のように取り入れられてきた方法を老舗(しにせ)旅館に取り入れたのです。そして,作業が細分化・専門化されすぎていた従業員をチーム化して生産性を劇的に向上させることに成功したのです。
人事部長と現場の匂い
人事部長は現場のにおいと動きに通じていないと務まらないとさえいえるでしょう。人事部長自身も営業センスの向上ワークショップに参加して自分の腕を磨き,自社のビジネスをよく知り,マーケティング理論もよく知っている必要があるのです。同じ目標達成に向けて同じ方向を向き,同じ「言葉」を話し,何をどうすればいいのかの到達点も共有すること,感情的にも心理的にも共感し現場を支援すること,それは人事部長と営業部長のコラボレーションであるといえます。