2009/04/29
人事制度体系上の現代的課題について
人事制度体系上の現代的課題について
人事制度体系上の現代的課題としては、以下のようなことがらがあります。すべてではないが、主なものを抽出してみましょう。【順不同】
1. ナレッジワーカーの扱い、職場をもたない一群の専門職たちの処遇、これら の人たちの長期的な評価自体の有用性をどう確保するべきか、
2. その企業のペイライン設計をどのあたりにおくか、サラリーサーベイへの参加とその結果の利用法、
3. 中途採用者の「前職給与考慮」が「役割」給与と齟齬する場合の処遇はどうあるべきか、
4. パートタイマーや期限の定めのある従業員(契約社員)の待遇と契約内容はどうすべきか、
5. 期限の定めのない従業員においてlow performerをどのように処遇するべきかおよびExit planの考え方
6. 退職者に対する対応、特に中高年層の場合 と退職金制度の再設計
7. メンタルヘルス上の問題のあった社員に対する対応および問題の予防
8. ハラスメントへの対応
9. 内部者通報制度の確立と人事の対応
10. 従業員や応募者に個人情報保護のありかた
11. 退職金のオフバランス化
12. 定年延長制度のありかた
13. 企業内のキャリア・パスの提示ないしCDP (Career Development Plan)の作成・援助
14. CRM(Customer Relationship Management)のスキルの営業部隊への還流、人事部のinternal customerへのサービス提供
15. 全社ベースでのinternal customer satisfactionに関するモニタリング
などです。
これらの問題は個別課題としてだけとらえるのでなく、まず基本的な人事体系の確立がなされることが先決であり、次に実務的な解決を迫られる課題として認識すべきでしょう。その場合、あくまで個別企業としての解決にとどまらずそのメリット・デメリットにつき実例をもとに整理しなおし記述し議論を尽くすことが重要だと考えます。これらは法制度と密接に関連するものの、すぐれて運用の巧拙に影響されるからです。
また14のCRMのように従来の人事部の仕事の役割を超えて企業目的にどのように直接的に貢献できるのかさえ人事部に期待されている新しいドメインといえます。なぜなら人こそ営業の基本であり、その質を確保・向上させるために人事部は謙抑的であるべきでなくむしろいかに積極的にVMS(企業理念・使命・戦略)の実現に貢献できるかが問われているからです。