2009/04/29

評価制度の誤った運用について

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評価制度への批判は、人事制度内容の本質と制度運用のポイントをしっかりと従業員にアナウンスしていなかったり、詳細な説明をロジカルに行っていないためにおこる誤解であることも多いのです。このような誤解は、最初の制度の定着時期固有の問題として過小評価すると制度自体の信頼感を傷つけ中長期的に形骸化や制度疲労の原因となるから、放置すべきではありません。

評価スケジュール

そのためには、つねに従業員の発信するメッセージを虚心坦懐に受取るシステムを年間人事評価計画に組み込んでおくと良いでしょう。

人事部の動きの年間計画として、事前の目標設定、実施、中間評価、最終評価、評価結果の上司からのフィードバック、給与ボックス内での加減%の決定等の年間スケジュールがおおよそ決まっていることと思われます。そのうち多くは現場部門長が関与するイベントです。そのため、毎年行われる人事評価サイクルも、細かくスケジューリングされているはずです。年間スケジュールを立てること自体は、評価制度じたいの適正手続の確保という意味で、重要なことです。

評価に対する従業員フィードバックができるか?

人事制度の正確で深い理解を、年間評価スケジュールをまわす中で、同時に行うことも意味があります。それは評価研修だけでなく、従業員の意見フィードバックのアンケートを「軽く」組み込んでおくことも有用なのです。

もちろん、第一次評価者による評価が不満の下位者は、上司の評価判断に対するコメントを返すことができ、最終的には、上司との合意で自分の評価が定まる、という手続がとられることが普通です。一方的な評価手続ではないのです。

しかし、従業員フィードバックといっているのは、個別のこうした評価手続の中での下位者からのフィードバックという意味ではなく、もっと根源的な評価ないし人事(給与)制度それ自体にたいする不満や不信をフィードバックする、ということです。

もっとも、そのような制度へのアンケートは従業員の人事制度そのものに対する理解度調査が目的であるから、制度そのものに是非を問うような質問はさけなければならないということは忘れてはなりません。

また、制度へのフィードバックに名をかりて、上司から低い評価を受けた者の感情的不満を表現するにすぎない場合もあるから、制度フィードバックの質問の仕方には細心の注意が必要でしょう。それどころか、人事制度自体を経営者・人事部が自信をもって運用していることは逆にきちんと従業員側にメッセージとして伝達されることが必要なのです。

とはいえ、こうした意見吸い上げシステムをビルトインしておくことは、いったんできあがった人事制度に対する建設的批判をとりこみ、将来的にさらに制度の精度を上げたり、制度改革するときのシグナルとすることができるという意味で重要な適正手続「due process」と考えられます。


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