2009/10/26
営業における組織と倫理(シチュエーションの1について)
営業における倫理 について
だれでも一度は営業担当者の経験があれば、少しきわどい事例にぶるかるケースはかなりあるでしょう。今まで一度も営業を経験したことがないからといって、同僚のぶつかる様々な問題を自分には無関係だからどうでもいい、と考えるヒトがいたとすれば、それが会社組織の一体的運営の大きな阻害原因となります。営業担当者が日常の営業活動の中でさまざまに直面するシナリオの中で、どのような動きをすべきか、頭を悩ませる事態・いわゆる問題事態(ここでは、これを「シチュエーション」といいましょう。)は少なくないのです。
では具体的に考えてみましょう。「シチュエーション」は、営業担当者の所属する組織の中で起こることですから、組織としてそれをどう取り上げるべきかという問題と、その場面に遭遇した同僚や先輩など所謂職場で、どのように対処するのか、そしてなにより、当事者である営業担当者個人としてはどのように行動するのが妥当なのか、それをしっかりと研究してみましょう。
「シチュエーション」No.1
『営業担当者Yさんは、交渉で価格を最善のものにしたかったので、原価構成について交渉相手に理解を求めようと思い、Y」さんは交渉相手の購買担当者に対して、「この製品の人気は高いので、生産設備は非常に高い稼働レベルにある」と営業トークを展開しようとしています。しかし、実際には稼働レベルは低いのです。』
→これはYさんのちょっとした嘘ですね。これ以上値下げできないということの理由をわかりやすくいいたかったのです。それに売れているということを強調して、値下げできないのですともいいたかったのですね。
→しかし、これが組織的として上司から売り方として指示があったら、また、そういいなさいとは指示されなくてもそういうものありだよね・・・と示唆されていたらどうでしょう。嘘を入れることは何らかの事情でバレタときに一気に信頼を失います。たとえ顧客に損害がでなかったとしても。アー話が違うな、というだけでも信頼はなくなります。営業部課全体の会社ぐるみの信頼の問題になりますね。
→上司からの指示がなくてもこういう小さなウソや都合のよい話を作って説明につかったら、どうでしょう。嘘も方便ですから、かまわないでしょうか?
部長や課長はこうは絶対言わないけれど、担当者としてはこの位の話を作っても、マアいいか、という感じもします。しかし、そのうちどの程度の嘘をいっても大丈夫なのか、自分でもわからなくなってきます。嘘の巾と重さを自分でコントロールできなくなって、これくらいのことなら言ってもかまわない、ということになりかねないのです。それがバレタとき、お宅の社員はこういうことをいうわけ?と顧客に居直られたら最終的に組織に及ぼす影響度合いは大きいことになります。とくに新人営業パーソンは調べないでマアいいやというのでこういう他愛もないウソをついても契約がとにかく取れればいいということになりかねません。
→本当は会社の営業状況もふるわず全く売れないので倒産寸前だったときはどうでしょう。これは詐欺まがいの行為になってしまいます。本当に倒産寸前だということを認識していたのに、押し込み販売の手口としてこういうことを言ったとしたら詐欺罪該当でしょう。
→では、どうすべきでしょうか。
売り方についてのコンセンサス、つまり売り方のプロセス、トーク、クロージングについて、どのようにするのかについて営業部課の中で共通理解をしておくといいと思います。実際ロールプレイをやってみて、どこをどう押さえて売りまでつなげるかを実際の経験などをいれてトレーニングします。実はこういうトレーニングをしない営業部課も多いのです。売上目標だけでは現場は疲弊しどう動いていいのかわからないと、こういう問題行動を起こすのです。目標とそれに至るシナリオを共有することですね。その中で、問題事例についてもチェックしたり想像したりしてみるのも「パワートレーニング」として有効です。職場で先輩などがこれをファシリテートしてみるのです。それが職場のリーダーシップです。
→このパワートレーニングの良いところは、他の上手くいった事例を目の当たりにして自分のものにできることです。このような嘘をいわなくても値下げ対処の方法をどうするか、それを共有することですね。これをベストプラクティスの共有といいます。結果として小さな嘘をいう必要もなくなります。もしコンプライアンスの掛け声だけでそれが達成できるとコンプライアンス部が考えていたとしたらそれこそ念仏だけの実効性のない掛け声ということになりますね。