2009/10/01
マズローの「もうひとつの実験」
人間の欲求には5段階のピラミッド階層をなしている、というのが、マズローの欲求段階説ですね。
マズローは、実はこの有名な説のほかにも面白い実験をしています。それは空間的な環境の美しさが視覚的な認知にどのような影響を及ぼすかというう実験です。
まず、3つの部屋を用意します。
- 美しい部屋
- 平均的な部屋
- 醜く汚い部屋
これを被験者たちにヒトの写っている写真を手渡して、その写っている顔がエネルギッシュかどうか、快適な感じかどうかを質問するのです。
- 美しい部屋とは、大きな窓、ナバホ族の敷物、艶消しの白い壁、間接照明、肘掛椅子、木製机、絵、植物が置かれています。
- 平均的な部屋には、鼠色のスティール製家具が置かれた清潔なオフィスの内装が施されています。
- 醜く汚い部屋には、天井から裸電球が垂れ下がり、床には古びたマットレス、灰色の壁、窓には破れたブラインド、そして放棄やモップなどの道具や埃が散在している状態です。
被験者たちの反応は、どの部屋で写真を見たか、によって違ったものになったというのです。美しい部屋で同じヒトの写真を見せられても、その顔をエネルギッシュで幸せそう、と思い、醜い部屋では写真の顔は疲れていて病気のように見える、と感じたと答えたのです。
さらに面白いことに、この実験を監督した者も、部屋によって反応が違ったそうです。つまり、醜い部屋では不機嫌に被験者の面接を急ぎ、粗野な行動変化を見せたのです。
この実験からわかったことは、同じものを見たときには、環境の美しさや温かさがヒトの気分をポジティブにさせたり、反対にネガティブにさせたり、する、ということでした。
場所や雰囲気を変えるだけで、職場環境が仕事のプロセスや結果に影響を及ぼすことがわかります。