2009/07/02
「GEの戦略」について
GEの戦略
巨大多国籍企業の場合の戦略は、100年間上場を継続できた唯一の成長企業として有名だけに、戦略論を知るために参考になります。GEの戦略とはどんなものだったのでしょうか?
1981年のGEは、売上高はフォーチュン500社中利益率第9位、売上高第10位で、従業員40万人(!)という官僚体質の会社で管理階層は11に分かれていたそうです。そこで、これがジャック・ウエルチ会長のとった主な戦略です。
① No1 or No2戦略 つまりセグメントで1番か2番でなければ再建、売却もしくは閉鎖。
② ダウンサイジング つまり5年間で40万人を30万人に。中性子爆弾は、建物や遮蔽物はそのままで、中にいる人だけを殺すので、ウェルチ氏はニュートロン・ジャックと呼ばれたのは有名です。
③ M&A つまり初期はリストラのために、後には競争力強化のために。
④ 戦略計画書は多くてもA4で5枚まで つまり今までの莫大な戦略計画書の分量をカットしパワーポイントで5枚までとしたのです。
⑤ 優秀Aプレーヤーを高く評価し、DプレーヤーをCプレーヤーにするために投資するよりも、Aクラスプレーヤーに投資する人材政策。
⑥ 下位10%はアウト。
などが主な戦略です。これらを眺めていると面白いことに気が付きます。ウェルチ氏は、企業の経営要素のそれぞれについて、明確な意味づけを与えている点です。
7つのSとは、何でしょうか?
Strategy 戦略 → No1 or No2戦略
Structure 組織(戦略を実行する組織・仕組み) → ダウンサイジング
System システム(人事システム、ITシステム) →Aプレーヤー
Staff (人材) → 有名な「クロンビル」での様々な研修プログラム
Skills (ノウハウと技術) → ベストプラクティス
Shared Value(価値観) → 3つのS,4つのE
ちなみに「3S/4E」とは?
3つのSとは、Simplicity, Self-confidence, Speed。
4つのEとは、Energy(活力をもとう)、Energize(周りを元気にしよう)、Edge(はっきり意思決定)、Execution (実行による成果の追求)をいいます。
このように行動原理を簡潔に標語にしたということは、記憶に残らせ人を動かすという意味において非常に優れたものを持っていたと思います。
人の評価について
人を評価するとき、よく問題になる場面があります。業績が高い者と低い者を縦軸として、横軸に価値観つまりビジョンやストラテジーへの共感度をとります。そうすると、もちろん価値観を共有し業績も高い人は1位で、そのどちらも低ければ4位であることはだれでもわかります。
では業績は高いけれど、ビジョンやストラテジーとは異なるマネージャーはどうでしょうか?
業績はナンバーつまり数字ですから、それが高いということは、会社で決めたストラテジーによらなくてもとにかく数字は出せるので短期的には評価を与えたくなります。もしかしたら、ストラテジーが間違っているのかも。それなら、ストラテジーを変え修正すべきです。そうでないのなら、高い業績を上げても人にそのノウハウを教えなかったり価値観を共有しないマネージャーよりは、価値観を共有しつつも業績をあげていないマネージャーのほうを高く評価する、それが、戦略的人事の要諦です。既存商品を売って実績あげた人よりもイノベーションをやったけれど売れなかったという人のほうを評価する、というわけです。