2009/06/25
「戦略とは?」と問われたら どう答えますか?
「戦略とはいったい何ですか?」と聞かれたとしましょう。
特に日本人の場合、議論をするときにかみ合わない原因が、使われる言葉の「定義」であることが多いのは、日常よく経験するところです。違った尺度で議論してもほとんど意味がないのです。
「あいつは使い物にならない」と言われて、どこが?なぜ?という具体的なイメージがないと、言われっぱなしで同意も不同意もしようがありません。「我が社には戦略が欠けているのでどうしようもない」と言われたら、どう答えていいのやら。日本人は、「ハイ・コンテクスト文化」にいるので、「そんなこと、いわせるのかよ、察知しろよ」みたいなことになってしまいがちですね。
しかし、それではロジカルな議論はできません。
戦略とは、何でしょうか?
方向性でしょうか?道筋でしょうか?
ここは原語で似たような言葉でみてみましょう。
Vision= What you want the organization to be; your dream
Strategy=What you are going to do to achieve your vision.
Tactics= how you will achieve your strategy and when.
ということになります。ビジョンは、事業の夢ですね。「ビジョン」はまさに目に見えるような夢、であり、それを実現するために何をするかが、「戦略」であり、そしてその戦略の実行とそれをいつの時点でやるかという問題が「戦術」だというわけです。というわけなので、まずビジョンから始まり、戦略を立て、戦術に落とし込むという段取りになります。
コンセプトはどれもみな同じ
全社ベースでも部課ベースでもこれらはみな同根です。ビジョンステートメント(ときどきミッションステートメントつまり会社理念とか使命ということもありますが同義です。)重要なことは、文章化しておくことです。特にハイコンテクスト文化の日本では、いわなくてもわかるだろう、ではなく、何をビジョンとするかを誰でもわかるようにしておくことです。
ビジョンとは。
エドワード・ウィテッカー氏は元AT&T会長ですが、小さな地域電話会社だったサウスウェスタン・ベルを相次ぐ買収で拡大し、ついに2005年にAT&Tを買収して社名継承のうえ全米最大手にのぼりつめた「買収王」。しかし、この人が評価されたのは買収実績だけではありません。旧来型の固定電話の通信会社を、携帯電話やネットを主体とする企業に変革したのは、当時は固定電話全盛・絶対信頼の時代でとうてい「ありえない」ことでした。そのときに、数年後の世界を見通し、携帯やネットに事業基盤を切り替えていくということは、まさに旧来のしがらみを捨て去り断ち切るイノベーションそのものであり、そうあるべきだし、そうなるはずだ、という「成功の読み」があったからでしょう。
これがビジョンです。
数年後の自社やマーケット、社会価値観の変化を見通し、その中心に事業基盤をいかに移していくか、それがビジョンです。
ウィテッカー氏は、自動車業界の未経験者ですが、今、米連邦破産法申請したGMのナンバー2として外部から改革する起動力としてオバマ政権からGMの将来を託された人です。それは固定電話からネットへ企業変革させたビジョンと実行力の人とみなされているのです。