2009/06/22
戦略策定の実際とは。(戦略論 その3)
「当社には経営戦略(事業戦略、市場戦略など)がない」、と言って嘆く前に。
戦略人事を推進するときの反流として必ず社内でまきおこり問題になるのが、「当社には経営戦略などない」とか「戦略がコロコロ変わり信用できない」とかの批判的な皮肉です。
本当は、そのような人こそ、戦略について配慮しているリーダーシップをもつべき人だといえます。というのは、戦略について興味がない人や会社の戦略に反対の人は、実は、こういう発言もしないものだからです。
目標達成のための原因力、つまり人のモチベーションを高めてどのように実行するかの方法論まで共有することがチームワークであり、それこそが目標達成のための最大のエネルギーになるからこそ、その人のリーダーシップが必要なのです。
では、どのように戦略策定をしたら、いいのでしょう?それがハッキリしないから、戦略が自分たちのものとしてとらえられないのです。
戦略策定の第1段階 「思い」を描け!
戦略策定の第2段階 「探索活動開始」!
これらについては既に述べたところです(戦略論その2)。では第3、第4段階とは?
戦略策定の第3段階 経営計画の策定:
「思いつけ」「探索しろ」は、戦略面のことですが、この経営計画策定はむしろ戦術面なのです。この段階で、財政的裏づけだとか経営資源の配分だとかの諸問題は経営計画にどのアイディアをもちこむかの現実論を議論しなくてはなりません。
たとえば、すぐ戦略のディスカッションをすると、すぐ誰かが必ずコメントを始める課題がこれです。
1. コスト
2. 新サービス完遂のために必要な時間軸
3. 現在の製品・サービスとフィットするかどうか
4. どの程度の成長性と収益性が見込めるかここで初めて、計画段階でよく使われるSWOT分析、競争分析やリソース分析が必要になるのです。
実は、このSWOT分析のうちopportunitiesは、未整理かもしれませんが、実質的にはすでに第1段階と第2段階「思いつけ」「探索しろ」で議論済みのはずですね。この段階で、誰かメンバーのうちの一人がファシリテーターになってSWOTにまとめ上げると、すっきりします。
1. そのアイディアは会社のミッションに短期的に合致するのでしょうか、それとも中長期的でしょうか?
2. 時間、人材、資源は十分でしょうか?
3. 実行されてどのアイディアがもっとも投資見返りが大きいでしょうか?
4. 実行を成功に導くに一番必要なものは人の要素でしょうか、技術でしょうか、それとも資金でしょうか?
もうひとつのヒント 第4段階
戦略思考と経営計画策定のために誤りを防止するのが、最後の第4段階です。これは、最後にチェックする項目ですね。
そのために、3つの重要なヒントがあります。
① 一つは、あなた自身(強みと弱み)
② 顧客は何を求めているか(機会と脅威)
③ そして何のためにあなたは働くのか(目的と使命)。
会社としての戦略とあなた自身の戦略的な行動の間で、この3つの輪が重なるところこそ、貴社だけが為しうるユニークな成功への扉となります。他社ではできない、あなただけが貢献できる仕事だからです。
この他社との差別化をどうか忘れないようにしましょう。実際のところ経営計画の策定は、この差別化手段そのものだといってよいのです。
経営計画とは、こうした完全な詳細項目を詰め込んだ「公式書類」作成行為ではありません(もちろん、この形式を整えることは最終的には会社の説明責任でもありますから、必要かつ重要なことですが。)むしろ、こういう「仕事のしかたガイド」と捉えることができたなら、経営戦略策定の成功確率はぐっと高まるといえます。