2009/06/01
「人事部」の「役割」分析
人事部の「役割分析」をやってみましょう.
まず,貴社の人事部の役割とは具体的に何でしょうか?それを言葉で表現できますか?
そこで、実際に、人事部の役割分析を試みてみましょう。
ここは、「バランスト・スコアカード」[注3]の考え方に従い,戦略・ビジョンの視点から企業成長力を牽引(けんいん)する4要素(①財務目標②顧客視点③業務プロセス④学習・成長)に仕分けして,人事部自体の役割を分析すると,それがハッキリしてきます。
[注3]ロバート・S・キャプラン,デビッド・P・ノートン共著 『戦略バランスト・スコアカード』
例えば,
①人事部が『財務目標』 に直接貢献する役割といっても,通常の事業会社の場合、人事部はプロフィットセンターではなく収益目標は存在しません。したがって,コストセンターですから、部として経費削減に努めるということがまず第一に人事部の財務目標になるのが普通でしょう。しかし、それ以外には場合によってはリストラ(人件費削減)という目標に対しての貢献が求められることもありえます。
もちろん、これはやや極端な例ですが,もしこれが本当に人事部の役割となる「危機的状況」ならば,期限付きの人員削減数値や、いかにスムースにアウトプレースメントしたかが人事部のパフォーマンスを測定する基準になる場合もありえます。
②『顧客視点』からはどうでしょうか?「人事部の顧客」は,社外にはおらず,社内の他部署そして従業員だといえます。
そこで、従業員を(社内)顧客としてみるとき,行った施策が結果としてどのように生産性アップに寄与できたかどうかが(社内)顧客満足度として問われる結果となるでしょう。例えば,福利厚生の充実,ワークライフバランスへの配慮や,楽しく快適に働くことのできる職場作りの推進などが考えられます。
③人事『業務プロセス』については,評価・給与や採用・研修になるでしょう。
近年,離職の理由として,「仕事量が多すぎる」,「給与が低い」,「キャリアパス」が欠けているなどが挙げられることが多いですね。そして満足な職場研修の不足,直接の上司からのサポートの欠如という大きな問題も指摘されているのが現状です。
このような問題点を,業務プロセス,すなわち評価・給与や採用・研修といった観点から解決する道筋を付けるのは,まさに人事部の役割だといえます。
④『成長と学習』の視点では,どうでしょうか?
人事部としてはHR KPI(Key Performance Indicator:人事部員数/総人員割合,離職数,採用数,人事部運用費/総経費割合などの指標)を尺度として人事部が自身の効率的運用を図ってゆくことは、人事部の成長と学習の視点からも重要なパラメーターになるでしょう。
また,ダイバーシティなどにより企業人材の多様性を高め、イノベーションの可能性を広げるといった企業ビジョン実現が、それ自体人事部の学習と成長につながる、ということもできるでしょう。