2009/04/29
組織の失敗
組織の失敗とは
前述のように、特殊な環境下における病理現象としての「組織の失敗」のほかに、通常の組織ないしプロジェクトチームで、優秀な人材ばかり集めたドリームチームでありながら、「大失敗」をすることがあります。
これをGroup Thinkといい、Janisが提唱したものでグループによる意思決定の大失敗を意味し、高い凝集性をもった優秀なグループで起こりやすい問題だといいます 。
グループ・シンキングの罠とは
グループシンキングの罠とは、グループメンバーが合意つまりコンセンサスを作り出すことに集中してしまうために、現実的な評価がおろそかになり、少数意見や耳の痛い意見を聞こうとしないで意思決定してしまう現象をいいます。和をもって尊しとなす、日本の組織文化の中でもおこりうる現象ですね。
コンセンサス重視は高凝縮性のグループに発生しやすい現象で、また優秀なグループは自分たちは優秀で間違いをおこすはずがないと過信するためでもあります。
歴史的にも1961年ケネディ政権のキューバ侵攻決定の大失敗などがあげられます。
組織の失敗はなぜおこるのでしょう
Janisは以下のような場合にグループシンクによる組織の大失敗が発生するといいます。
① 高い凝集性をもつグループ。
② 客観的な判断を促す仕組みの欠如。
③ 自分たちは優秀で間違いを犯すはずがないという楽観的な感覚にグループ全体が陥る。
④ 自分たちに都合のいい情報だけに耳を傾け悪い情報をできるだけ無視しようとする。
⑤ 全会一致で決定することが望ましいと考えてメンバーに同調を促す。
⑥ グループの決定に反するような不都合な情報によってグループの意見が左右されないようにグループをそれらの情報から守ることを自認する人物(この人物をマインドガードという)が現れる。
組織の失敗は、絶対にあってはならないことなのでしょうか
もっとも、組織の病理現象や大失敗について、それをなくす(防止する)ことはどれだけの意味があるのかとなると、究極的な疑問は残ります。果たして組織は必ず生き残らなくてはならないのでしょうか。
組織の病理や大失敗があるのなら、組織がそのまま自滅ないし消滅することもひとつの解決だといえるのではないでしょうか。組織は所詮、設計されたものであり、期待値を満たさない場合は設計しなおし作り直すことも可能であり、必要なことなのです。