2009/04/29

ワークプレイス戦略とは何でしょう?

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「オフィス・マネージャー」とはどういう職種?

よく、外資系企業で、オフィスマネージャーという肩書を聞くことがあります。オフィス・マネージャー職というのは、オフィス全般の快適環境の維持、場合によってはそれ以上に文書管理や購買、外注管理なども担当することもある、ライン業務以外の仕事一般を取り仕切る役割をもっています。比較的小規模な事業所では人事も担当することもあります。日本ではオフィス・マネージャーという呼称はなじみがないのですが、外資系企業にはオフィス・マネージャーがいる職場も多いのです。日本企業でいいますと、いわゆる総務人事部長とか管理部長という感じでしょうか。

オフィス・マネージャーが活躍する舞台

オフィス・マネージャーの腕ひとつで職場レイアウトは変わります。そういう権限があるのです。もちろん、勝手に模様替えしていいという意味ではありません。そこには鋭いバランス感覚が必要です。何かが変わるぞというメッセージを出す、ちょっとしたサプライズを見せる・・・「戦略人事」を理解するトップマネジメント(社長)の支持がこれに備わると、職場は「戦略人事」の見せ場、劇場となるのです

オフィスマネージャーが企業理念や事業戦略を理解し共鳴してオフィスレイアウトすると、人の働きやすさ、快適さ、働く効用の最大化をいかに物理的に実現するかがわかりやすく見えるようにします。定型的・伝統的なオフィスレイアウトにこだわる必要は全くないのです。オフィス・マネジャーはミクロ戦略的な人事部機能の一部を担っているとさえいえるのです。

ワークプレイス戦略

以上述べてきたように、オフィスレイアウトの問題は、企業の組織戦略やニーズそして知的財産である人材に対するその企業の姿勢を示すものです。

それは以下の3つの組織戦略そのものだといえます。

① 組織の事業戦略、将来構想、創業の精神、ハイテク技術の浸透度、現実のワークプロセス、希求するコミュニケーションスタイルなどを「体現するため」に、人と企業文化・組織風土の枠組みに照らしながら、ワークプレイス(職場)を根本から再設計すること
② 「事業場」の概念を越えて、人がどこでも働ける場所の選択肢(在宅勤務・遠隔地勤務)を広げる戦略、
③ 「ホテリング」戦略つまり、オフィス滞留時間よりも外で働く時間のほうが長い人に対する戦略(スペースの共用)

この3つの戦略です(マイケル・ブリル=建築家)。

これらの戦略は、ミクロの戦略人事の1局面として、忘れてはならない、企業の重要な決定事項なのです。これを「ワークプレイス戦略」といいます。

1日24Hのうち平均8Hから10Hを過ごすオフィスタイムは、ワークプレイス(職場)の上に成り立っているのですから、過小評価すべきではありません。それどころか、もし会社の事業戦略上グローバルなバーチャル・チーム・プロジェクトに参加するというのなら、そもそも物理的な職場はなくなってしまうので、オフィスレイアウトの問題は消えてなくなることになります。

ところで、食堂やキャンティーンは従業員の憩いの場でもあるから従業員福祉の観点からもその充実が求められます。休み時間を楽しくゆったりと取れるだけのスペースと快適性がキャンティーンにあるでしょうか。かなりの大手企業でも問題の多い喫煙室はあっても快適なキャンティーンは存在しないことが多いのです。中小企業であってもそれを必要コストとして吸収できるだけの全社事業計画が求められます。そうでないと、Employee Surveyで高得点は望めないでしょう。そうでないと採用面でも優位に立てないのです。だから机の配置やミーティングルームの数やキャンティーン整備、喫煙室の扱いというオフィスレイアウト課題は、人事組織や人事課題と無視できない相関関係にあるのであり、こうした面で人事部のリーダーシップや意見発信を求める意識改革が日本の企業にも必要とされていると筆者は考えます。


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