2009/04/29
ハラスメント
ハラスメント
パワー・ハラスメントやセクシャル・ハラスメントも職場の危機管理の課題です。
パワハラとは何でしょうか。
パワハラとは、、パワーハラスメント(Power harassment)の略称で、セクハラと同様、職務的立場を利用して(職場の上司が立場の弱い部下などに対して)、無理難題を強要したり、私生活へ介入するといった、人権の侵害にあたるような嫌がらせを繰り返し行うことをいいます。
どのようなことがパワハラにあたるのでしょうか。
具体的なパワハラ被害とは、その度合いにもよりますが、下記のような言動を職務的立場を利用して行うことをいいます。
• 社内いじめを行う(無視・冷遇・暴行など)
• 金銭(借金の保証人なども含む)を要求する
• 不適切な、あるいは度が過ぎた業務指導・人材教育
• 長時間の時間外労働(残業)や休日出勤を強要する
• 些細なことで恩に着せたり、 無理に負い目を感じさせる
• 業務上の些細なミスで(あるいは過失がない場合でも)激しく叱責する
• 雇用の不安感(解雇の可能性など)をあおることで部下を自分に従わせようとする
これらが起きる背景には、近年多く見られるようになったリストラや能力(成果)主義・人事制度の進行などによる、管理者や上司へのプレッシャー、人間関係のこじれといった理由が挙げられています。しかし、ここで問題となっているのは、上司にとって部下に精神的苦痛を与えることが目的化しているために、指導育成や業務上の命令などに隠れて表面化しにくいことです。
欧米でも、モラル・ハラスメントとして研究がされていますが、英語ではブリー(Bully)という表現が一般的です。つまり、職場でのイジメなのです。パワハラは和製英語です。
企業には、人事評価の指標として目標管理などの制度がありますが、できもしない目標を掲げさせ、あるいはノルマを与えて達成しなかった場合、徹底的に部下を精神的に追い詰めることが、パワハラの特徴のひとつとしてあげられます。
役割と自我との混乱
実際、パワハラをしている人のなかには、「私は口の悪い人間だから」「毒舌が私の特徴」などとおっしゃる人も多いかもしれません。しかし、ハラスメントは受け手がどう感じたかが重要であるため、「悪気はなかった」「激励のつもりで・・・」などと主張しても、受け手にとっていやがらせととられれば、問題になる可能性は大いにあります。
権威のある立場の人の言葉や態度は、使い方によっては“凶器”にもなるのです。じつは、これも役割と自我との混乱が引き起こす問題ケースなのです。
役割上位の者に起こる問題だから、発見されにくいし改善されにくい
これらの問題は個人的被害であるために本人はショックを受け被害感情が激烈であることが多いのです。それが原因で離職したり、裁判になることもままあるのも事実です。問題はハラスメントした本人自身に原因があり、必ずしも職場全体の問題ととらえることができにくい面があることです。
また原因者が職場の上位者であればあるほど、実はその権力がゆえに、是正が困難という問題があります。そのため、会社役員が原因者である場合、知らないうちに問題が潜行しまたぶり返すことも多く、組織の健康を中長期的に破壊することになりかねないという問題があるのです。
ハラスメントは誰が解決するのでしょうか
現在では、急増するパワハラの防止策として、従業員への周知・啓発や、社内に苦情・相談窓口を設置する、といったことを就業規則に明記する企業も出始めてきています。
人事部が第一次的には対応するべき問題ではありますが、原因者がヒエラルキー上それを超える上位者や役員の場合には経営陣の対応すべき問題となります。
筆者は、おそらくこの問題は端緒の発見から処理にいたるまで、「内部告発手続」の中でコンプライアンス担当部署に解決権限を与えることが最も効果的と考えています。また、この不透明性がゆえに現代の職場にとって最大の未解決問題でしょう。こうした問題はコンプライアンス・マニュアルまたはCode of Conduct《企業倫理綱領》においてその解決手続について簡単に記載しておくことが、当該企業の社会的見識を示す上で有効です。